個人間・中古品・高額品の売買や、分割払いの約束をする方へあとで揉めない、
個人間売買の契約書を
フリマアプリやSNSで物を売り買いするとき、友人や知人に高価な物を譲るとき、代金を何回かに分けて払う約束をするとき。ふだんは口約束や取引画面のやり取りで済ませていても、品物が壊れていた、偽物だった、残金が入らないといった場面では、「何を」「いくらで」「いつ」「どんな状態で」引き渡す約束だったのかが決め手になります。このガイドは、個人間・中古品・高額品・分割払いの売買に絞って、売買契約書に書く項目と、その根拠になる民法・消費者契約法・割賦販売法・特定商取引法などの条文を、順を追って整理した解説です。売買が成立する条件と書面を残す場面、目的物と代金の書き方、中古品の契約不適合責任、「ノークレーム・ノーリターン」の効力、高額品の真贋と盗品、手付と取り置き、分割払いと所有権留保、配送と危険の移転、無償で譲るときの贈与、未成年者や代理人との売買、売る人と買う人の立場による適用法令の違い、トラブルになったときに最初に確認することまで、テーマごとに詳しく取り上げます。乗り物や不動産の売買、事業用の機械・設備、通信販売サイトの運営、法人どうしの取引基本契約は、このガイドでは扱いません。
個人間で物を売り買いする方

口約束と書面、何を書いておけばよいか
売買は、売る約束と代金を払う約束が合えば成り立ち、書面は成立の要件ではありません。それでも、高額の取引、後日に引き渡す取引、分割で払う取引では、あとから「言った、言わない」になりやすく、書面が決め手になります。
契約書には、当事者、目的物、代金、引渡し、所有権、品物の不具合があったときの扱い、解除を書きます。相手が事業者かどうかで適用される法令が変わる点も、最初に押さえます。
中古品を売る方・買う方

契約不適合責任と「ノークレーム・ノーリターン」
中古品でも、引き渡された物が契約の内容に合っていなければ、買主は修理や代替品の引渡し、代金の減額、損害賠償、解除を求められます。不具合を知った時から一定の期間内に売主へ通知しないと、これらの権利を失う仕組みもあります。
「ノークレーム・ノーリターン」と書けば全部免責になるわけではありません。売る人が個人か事業者かで結論が変わり、知りながら告げなかった事実は免れられません。
高額品を売り買いする方

真贋、保証書、盗品、手付と取り置き
時計、楽器、カメラ、貴金属などの高額品は、偽物や盗品が混じるリスクがあります。「本物であること」をどう書くか、保証書・鑑定書・シリアルの確認をどこまで書面に添えるかを決めます。
取り置きや手付を伴う取引では、手付の性質、解除できる時期、返還の可否を書面で定めておきます。
代金を分けて払う・受け取る方

分割払いの条項と、所有権留保
代金を何回かに分けて受け取る約束では、支払日と金額、遅れたときに残りを一括で請求できる条件、遅延損害金、解除したときの既払金の扱いを書きます。割賦販売法が関係するかどうかは、売る人が営業として行うかなどで変わります。
完済まで品物の所有権を売主に残す所有権留保は、使い方・保管・転売の禁止まで書いて初めて役に立ちます。
発送・受取り・無償で譲る方

引渡しの時点、危険の移転、譲渡と贈与
発送後に壊れた、届かない、受け取ってもらえない。こうした場面では、引渡しがいつ終わったのかによって、壊れた物の負担が変わります。引渡しの方法、受領書、送料と梱包の負担を決めておきます。
無料で譲る場合も、売買ではなく贈与や貸し借りにあたるのかで、あとから返してほしいと言われたときの扱いが変わります。未成年者や代理人と取引するときの確認もここに含まれます。
売買でトラブルになっている方

最初に確認すること、催告・解除の通知書
代金が入らない、物が届かない、偽物だった、壊れていた。まず契約の内容、やり取りの記録、写真、振込の記録をそろえ、何を求めるのかを整理します。
催告や解除の通知書の枠組み、少額訴訟や支払督促という制度の概要も、確認の順序に沿って整理します。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
口約束だけで売買は成立しますか?書面は必要ですか?
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がその代金を支払うことを約すれば成立します(民法555条)。書面は成立の要件ではありません。ただし、高額の取引、後日に引き渡す取引、分割で払う取引では、何を・いくらで・いつ・どんな状態で引き渡すのかを、あとから示せるように書面かメッセージで残しておくと、食い違いを防げます。
「ノークレーム・ノーリターン」と書けば、売主は責任を負わなくてよいのですか?
個人が個人に売る場合は、責任を負わない旨の特約をすることができます。ただし、特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実などについては責任を免れません(民法572条)。事業者が消費者に売る場合は、消費者契約法8条により、損害賠償の責任を全部免除する条項などが無効とされることがあります(追完や代金減額の責任を負うとされている場合などの例外が8条2項にあります)。また、「ノークレーム」(不具合への責任)と「ノーリターン」(返品の可否)は別の話です。
中古品の不具合は、いつまでに売主に伝えれば間に合いますか?
引き渡された物が種類または品質について契約の内容に適合しないときは、買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除ができなくなります(民法566条)。売主が引渡しの時に不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この制限は働きません。
代金を分割で受け取る場合、割賦販売法の対象になりますか?
割賦販売法の「割賦販売」は、代金を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受領することを条件に、政令で定める指定商品などを販売するものを指し(同法2条1項1号)、割賦販売を業とする者が対象です。営業として行わない個人間の売買は、通常は対象になりません。そのうえで、支払日・金額、遅れたときに残りを一括で請求できる条件、遅延損害金、解除したときの既払金の扱いを契約書に書いておきます。事業者が消費者に売る場合、遅延損害金のうち年14.6%を超える部分は無効です(消費者契約法9条2号)。
手付を払ったあとにやめたくなったら、どうなりますか?
買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約を解除できます(民法557条)。ただし、手付には解約手付のほか、契約が成立した証拠としての手付や、違約に備える手付などの意味で渡されることもあります。どの性質で渡すのかを、書面で書いておきます。内金や前払金と手付は別のものです。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日