このページの要点
- 売買は、売る約束と代金を払う約束が合えば成立し、書面は成立の要件ではない(民法555条、522条2項)。
- 書面の価値が高いのは、高額、後日の引渡し・支払、分割払い、現状品、真贋が問題になる品物の取引である。
- 契約書の骨格は、当事者、目的物、代金、引渡し、所有権の移る時、不具合があったときの扱い、解除の七つ。
- 相手が事業者かどうかで、消費者契約法などの適用が変わる。書き方を決める前に、立場を確かめる。
結論:売買は口約束でも成立する。書面は「後から示す証拠」と「決め忘れの防止」のために作る
フリマアプリやSNSで物を売り買いするとき、友人や知人に高価な物を売るとき、多くの人は書面を作らずに取引を済ませています。それで取引が成り立つのは、法律が、売買の成立に書面を求めていないからです。
ただし、書面がいらないことと、書面を作る価値がないことは別の話です。品物が壊れていた、偽物だった、代金が入らない、約束した日に来なかった。こうした場面では、「何を」「いくらで」「いつ」「どんな状態で」引き渡す約束だったのかが争点になり、口頭の約束だけではそれを示す手がかりが残りません。このページの結論は、次の四つです。
- 売買は、売る約束と代金を払う約束が合えば成立する(民法555条)。契約の成立に書面は要らない(民法522条2項)。だから、口約束でも有効な契約である。
- 書面を残す価値が高くなるのは、高額の取引、引渡しや代金の支払が後日になる取引、分割払い、現状のまま渡す中古品、本物かどうかが問題になる品物の取引である。
- 契約書の骨格は、当事者、目的物、代金、引渡し、所有権の移る時、品物に不具合があったときの扱い、解除の七つ。この七つに答えが書かれていれば、細かな条項が足りなくても争点の大半は押さえられる。
- 相手が事業者かどうかで、使える法令が変わる。個人どうしの売買は民法が中心で、事業者が消費者に売る場合は消費者契約法などが加わる。書き方を決める前に、まず相手がどちらかを確かめる。
このガイドは、知人やネット上の相手との中古品・高額品の売買、代金を分けて払う売買、無償で譲る取引を対象にしています。乗り物や不動産の売買、事業用の機械・設備の売買、法人どうしの継続的な取引は扱いません。ここでは全体像を整理し、各論は目的物と代金の書き方、中古品の契約不適合責任などのページで詳しく取り上げます。
売買が成立する条件:民法555条と522条2項
民法555条は、売買を次のように定義しています。売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。つまり、「この物を渡す」という約束と「代金を払う」という約束が向き合って合致すれば、売買はそこで成立します。
民法522条は、契約の成立について、さらに二つのことを定めています。一つは、契約は、申込みに対して相手方が承諾したときに成立するということ(同条1項)。もう一つは、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しないということ(同条2項)です。
この二つを、実際の取引に当てはめると次のようになります。
個人間売買が成立するまでの基本の流れ
- 申込み「この品物を、この代金で売ってほしい」「この代金で買いたい」という意思を相手に示す。
- 承諾相手が「それでよい」と応じる。この時点で売買契約が成立する。
- 代金の支払買主が代金を払う義務を負う。支払の時期と方法は、合意で決められる。
- 品物の引渡し売主が品物を渡す義務を負う。引渡しの時期と方法も、合意で決められる。
- 所有権の移転所有権が買主に移る時期は、当事者の意思表示で決まる(民法176条)。
成立は「承諾」の時点。代金の受渡しや品物の引渡しは、成立したあとの履行の段階の話である。
見落としやすいのは、「商談中」と「契約成立」の境目です。「いくらなら売ってくれますか」「この値段なら考えます」というやり取りは、まだ申込みと承諾が揃っていない段階かもしれません。一方で、「その値段で買います」「では取り置きします」と双方が応じていれば、すでに売買が成立していると見られます。成立した後で気が変わっても、一方的にはやめられません。取引画面での「購入手続」「確定」の操作や、メッセージでの了承が、承諾にあたることがあります。
売買の中身は、当事者の合意で自由に決められます(民法521条2項)。民法の売買の規定のうち公の秩序に関しない規定は、当事者が別の意思を表示すればその意思が優先します(民法91条)。たとえば、引渡しの時期、代金の支払の順番、不具合があったときの扱いは、民法の定めと異なる内容で合意できます。契約書は、この合意を目に見える形にするためのものです。ただし、合意すれば何でも有効になるわけではなく、相手が消費者の場合には、消費者契約法が一部の条項を無効にします。この点は後の見出しで整理します。
書面を残す価値が高くなる場面
口約束で足りる取引と、書面を作ったほうがよい取引の分かれ目は、「あとで揉めたときの損失の大きさ」と「記憶やメッセージだけでは再現しにくい約束の多さ」です。次の場面では、書面を残す価値が特に高くなります。
書面を残したほうがよい場面と、書いておく内容
高額の品物を売り買いする
起きがちなこと値段の高さに比べて、約束の記録が取引画面のやり取りだけで、細部が不明のまま残る。
防ぐ書き方品物を特定する情報(型番・製造番号・付属品)と、代金、引渡しの日を書面にまとめる。
引渡しや代金の支払が後日になる
起きがちなこと先に代金を払ったのに品物が届かない、先に品物を渡したのに残金が入らないなど、どちらが先に動くかで揉める。
防ぐ書き方支払の日と引渡しの日を日付で書き、どちらが先か、同時かを決める。
代金を分割で払う
起きがちなこと何回目の支払が遅れたら残りを請求できるのか、遅れたときの遅延損害金はどうなるのかが決まっていない。
防ぐ書き方支払日・金額・方法、遅れたときの扱い、完済までの品物の扱いを書く。
現状のまま中古品を渡す
起きがちなこと「古いので動作は保証しない」と言ったつもりでも、買主は問題なく使えると受け取っていることがある。
防ぐ書き方動作確認の結果、既知の不具合、責任の範囲を、写真と合わせて書面に残す。
本物かどうかが価値を左右する
起きがちなこと買ったあとで偽物だと分かり、「本物と聞いていた」「本物とは言っていない」の食い違いになる。
防ぐ書き方「本物である」と約束するのか、しないのかを明記し、保証書・鑑定書の扱いも書く。
代理人や家族が窓口になる
起きがちなこと本人が知らないうちに話が進んでいた、代金の受取人が違っていたなど、誰と契約したのかが曖昧になる。
防ぐ書き方契約の当事者を、氏名・住所・連絡先で書き、代理人が来るときは委任状を添える。
場面は一般的な例であり、実際の取引では品物と当事者の関係に合わせて書く内容を調整する。
ここに挙げた場面に共通するのは、売主と買主のどちらも、約束の細部を自分の記憶で補ってしまうことです。取引の時点では双方が納得していても、時間がたつと、たとえば「付属品も込みだった」「付属品は別だった」というように、記憶がずれていきます。書面の一番の役目は、このずれを防ぐことです。
契約書の骨格:七つの項目と書く順序
個人間の売買契約書は、長い条文を並べるより、七つの項目に答えを書くことを優先します。ここでいう七つとは、当事者、目的物、代金、引渡し、所有権の移る時、品物に不具合があったときの扱い、解除です。次の表は、各項目に何を書くか、決めないとどうなるかを整理したものです。
売買契約書の七つの項目
| 項目 | 書くこと | 決めていないと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 当事者 | 売主と買主の氏名(名称)・住所・連絡先。代理人が来るときは代理人の氏名と委任の範囲。 | 誰が契約の相手なのかが曖昧になり、請求や通知の宛先が分からなくなる。 |
| 目的物 | 品名、型番、製造番号、付属品、状態(傷・不具合の有無)、写真の添付。 | 「何を売ったのか」が食い違い、付属品や不具合の有無で争いになる。 |
| 代金 | 金額、税込か税別かの明記、送料や手数料の負担、支払の期日と方法、振込先。 | 代金の総額と、送料・手数料の扱いで食い違う。支払の遅れの基準が不明になる。 |
| 引渡し | 引渡しの日、場所、方法(手渡し・宅配・引取り)、受領の確認方法。 | 品物が届かない、壊れて届いたとき、引渡しがいつ終わったのかが決まらない。 |
| 所有権の移る時 | 代金を払い終えた時か、引渡しの時か、契約の時か。 | 分割払いのとき、完済前に転売されても取り戻せるのかが分からない。 |
| 不具合があったとき | 修理・交換・代金の減額・返金の扱い、通知の期間、責任を負わない範囲。 | 壊れていたとき、どこまで売主が責任を負うのかで争いになる。 |
| 解除 | 解除できる場合、解除の方法、解除したときの代金・品物の返還と費用の負担。 | キャンセル、遅延、不具合のときの出口が決まらず、返金の範囲で揉める。 |
この七つのうち、多くの人が漏らしやすいのが「所有権の移る時」と「解除」です。所有権の移る時は、代金を一括で払って品物をその場で受け取る取引では意識されません。しかし、分割払いや取り置きでは、いつ買主のものになるかが、転売されたとき、差し押さえられたとき、壊れたときの結論に影響します。解除は、「約束が守られなかったとき、どうやって契約を終わらせて元に戻すか」を決めるもので、トラブルの出口に当たります。
条項の例売買契約書の冒頭部分の書き方
- 売主(以下「甲」という。)と買主(以下「乙」という。)は、次の物品(以下「本件物品」という。)の売買について、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
- 本件物品は、品名○○、型番○○、製造番号○○、付属品○○とし、その状態は別紙の写真及び状態の記録のとおりとする。
- 代金は、金○○円(税込)とし、乙は、○年○月○日までに、甲の指定する口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は乙の負担とする。
- 甲は、乙の代金の入金を確認した後、○年○月○日までに、本件物品を乙に引き渡す。引渡しの方法は、○○とする。
○は取引ごとに決める。条文の文言は一般的な書き方の例であり、特定の取引の契約書そのものではない。
この例で見てほしいのは、冒頭の段落で売主と買主を短い呼び名にし、その後の条項で一貫して使っている点です。「甲」「乙」は、書面の中で当事者を指す呼び名にすぎません。誰が売主で誰が買主か、本件物品とは何を指すかが最初に決まっていれば、後ろの条項は短く書けます。
取引画面やメッセージのやり取りは、書面の代わりになるか
フリマアプリやSNSのダイレクトメッセージでの売買は、書面を作らなくても、やり取りが文字で残ります。そのため、書面は不要だと考える人も少なくありません。たしかに、メッセージの履歴は、約束の内容を示す手がかりになりえます。ただし、それだけで足りるかどうかは、やり取りの中に、七つの項目の答えが入っているかで決まります。
メッセージの履歴だけに頼る場合の弱点は、次の四つです。
- 約束がやり取りのあちこちに散らばり、最終的に何で合意したのかが読み取りにくい。値段が途中で変わった、付属品の扱いが後から付け加えられた、といった経過があると特にそうなる。
- 取引が終わると、取引画面の記録やメッセージの履歴が見られなくなる、あるいは相手とのやり取りを削除される場合がある。手元に写しが残っているとは限らない。
- 写真や状態の記録が、出品時の写真だけで、引渡し時の状態を示すものがない。「発送前は問題なかった」「届いた時に壊れていた」のどちらも、裏づけが弱くなる。
- 不具合の責任、通知の期間、解除などの「もしものとき」の約束は、普通のやり取りには出てこない。決めていなかったことは、民法の定めに従うことになる。
書面を作るといっても、立派な契約書を準備する必要はありません。まずは、やり取りで合意した内容を、七つの項目に沿って一枚にまとめ、双方が確認した旨を残すだけでも効果があります。たとえば、次の対比のように、「確認メッセージ」の書き方を整えるだけで、あとから示せる情報が大きく増えます。
書き方の例(一般的な例) 取引の確認メッセージの書き方
目的物と代金の確認
理由何を、いくらで、いつまでにという核心部分が一通のメッセージで読み取れる。相手の「はい」という返信で、合意の内容が確定する。
引渡しの確認
理由引渡しの時期と、受取り後の確認の期限が決まり、不具合の通知がいつまでに必要かの目安になる。
このような確認のやり取りは、書面の形に整えなくても、合意の内容を後から示す手がかりになります。ただし、高額の取引や分割払いでは、メッセージではなく、署名または記名をした一通の書面にしておくと、さらに確かです。
相手が事業者かどうかで変わる法令の見取り図
売買に適用される法令は、売る人と買う人の立場で変わります。個人どうしで一回きりの売買をする場合は、民法の売買の規定が中心です。一方、売主が事業者で、買主が消費者の場合は、消費者契約法が加わります。
消費者契約法2条は、「消費者」を個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合を除く)、「事業者」を法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人と定義しています。そして、消費者と事業者との間で締結される契約を「消費者契約」と呼びます(同条3項)。ここでいう「事業」は、営利かどうかを問わず、同種の行為を反復継続して行うことを指すと説明されることが多く、たまたま不用品を売るだけの個人は、通常は事業者にあたりません。ただし、個人が継続して仕入れと販売を繰り返していれば、事業として行っていると評価される可能性があり、条文と消費者庁の資料で確認が必要です。
売る人と買う人の組合せで、何が変わるか
| 組合せ | 中心になる法令 | 契約書を書くときの視点 |
|---|---|---|
| 個人が個人に売る | 民法の売買の規定。消費者契約法は、事業者が当事者でないため適用されない。 | 責任を負わない特約は、民法572条の限界の範囲で有効。品物の状態の記録と、引渡し・代金の条項が中心になる。 |
| 事業者が個人(消費者)に売る | 民法に加えて消費者契約法。通信販売なら特定商取引法の表示の規定も関係する。 | 責任の全部を免除する条項などは、消費者契約法で無効になりうる。表示した内容と実物が合っているかが重要になる。 |
| 個人が事業者に売る | 民法と消費者契約法(個人が消費者に当たるため)。自宅へ来る買取は、特定商取引法の訪問購入の規定が関係することがある。 | 買う側の事業者が用意した契約書の条項を読む立場になる。売る側の個人の保護規定がある。 |
| 事業者が事業者に売る | 民法・商法など。消費者契約法は適用されない。 | このガイドでは扱わない。法人間の継続的な取引は、別のガイドで取り上げる分野。 |
表の「事業者が個人に売る」で、書き方が大きく変わるのが、品物の不具合に対する責任の扱いです。事業者が「いかなる理由でも責任を負わない」と書いても、消費者契約法8条により、損害賠償の責任の全部を免除する条項などは無効とされます。この点の詳しい整理は、「ノークレーム・ノーリターン」の効力のページに回します。立場別の全体の一覧は売る人・買う人の立場別に見る適用法令で扱います。
分割払いの売買では、割賦販売法が関係するかどうかの判断が加わります。割賦販売法2条1項は、割賦販売を、代金を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受領することを条件として、指定商品などを販売することなどと定義しています。この定義に当てはまる販売が、法律の規制の対象になります。個人が不用品を分割払いで売る場合は、営業として行っているかどうかや、対象の商品が政令で指定された商品かどうかが問題になります。判断の詳細は代金を分割で払う売買契約書のページで整理します。
売買、贈与、貸し借りの区別と、契約書を作る前の問い
契約書を作る前に、その取引が何の契約なのかを確かめます。代金を受け取る約束があれば売買です。代金のかわりに別の物を渡す約束なら、交換にあたります。お金も物も受け取らずに渡すのなら贈与(民法549条)、一定期間だけ使わせて返してもらう約束なら、使用貸借や賃貸借です。名前が違えば、あとで不具合が見つかったときの責任の程度が変わります。たとえば、贈与の場合、贈与者は、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡す約束をしたと推定されます(民法551条1項)。無償で渡す場合の書き方は、「譲ります」「差し上げます」の書き方で整理しています。
そのうえで、書面を作る前に、次の問いに答えられるかを確かめます。
契約書を作る前に確かめる問い
問いこの取引は、売買か、贈与か、貸し借りか。
理由契約の種類で、民法の適用される規定と、不具合のときの責任の重さが変わる。
問い相手は個人か、事業として売買している人か。
理由消費者契約法や特定商取引法が使えるかどうか、免責の書き方が有効かどうかが変わる。
問い代金は一括か、分割か、後払いか。
理由分割払いなら、期限の利益の喪失や所有権の移る時の条項が必要になる。割賦販売法の対象になるかの判断も加わる。
問い品物は一点物か、同じ物が複数あるか。
理由一点物は、傷・不具合の記録がそのまま契約の内容になる。同じ物が複数あるなら、どの個体を渡すのかを特定する必要がある。
問い引渡しは、手渡しか、配送か、引取りか。
理由配送なら、運送中の事故の扱いと、受取りの確認方法を決める必要がある。
問い本物かどうかが代金に影響するか。
理由価値が真贋に左右される品物は、本物であることを約束するのか、しないのかを明記する必要がある。
問いに答えられない項目は、書面に書く前に、相手と話し合って決める。
起きがちなこと
個人間の売買で、書面がなかった、あるいは書面が足りなかったために起きがちなことを、一般的な例で整理します。
個人間の売買で起きがちなこと
- 代金は払ったのに、品物の付属品が足りないと言われ、「付属品込みの値段だった」と主張したが、約束を示すものがなかった。
- 「現状渡し」で売ったつもりが、買主は「動作に問題はないと聞いた」と主張し、どちらの言い分も裏づけに乏しかった。
- 分割払いの途中で支払が止まり、品物は買主の手元にあるが、いつ買主の所有になるのか、どう取り戻すのかが決まっていなかった。
- 取り置きを頼まれ、期日になっても買主が現れない。キャンセルなのか延長なのか、取り置き中の代金の扱いが決まっていなかった。
- 家族が窓口になって話が進み、本人が「聞いていない」と言い出した。契約の相手と代金の受取人が食い違っていた。
- 取引画面のやり取りだけで済ませていたが、取引終了後に記録が見られなくなり、約束の内容を示せなくなった。
これらの例は、特別な事情ではなく、ふつうの個人間の取引で起こりうることです。七つの項目のうち、どれが決まっていなかったためにこうなったのかを、一つずつ振り返ると、書面に何を書けばよかったかが見えてきます。次のページ以降で、項目ごとの書き方を詳しく整理します。まずは目的物と代金の書き方から読み進めてください。
よくあるご質問
口約束だけで売買は成立しますか?書面は必要ですか?
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がその代金を支払うことを約すれば成立します(民法555条)。契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式は要りません(民法522条2項)。ただし、高額の取引、後日に引き渡す取引、分割で払う取引では、何を・いくらで・いつ・どんな状態で引き渡すのかを、あとから示せるよう書面かメッセージで残しておくと、食い違いを防げます。
取引画面やメッセージのやり取りは、契約書の代わりになりますか?
やり取りが残っていれば、約束の内容を示す手がかりになります。ただし、約束がやり取りの中に散らばっていたり、取引終了後に履歴が見られなくなったりすることがあります。品物の特定、代金、引渡しの時期、不具合があったときの扱いを、一通のメッセージか一枚の書面にまとめ、相手の確認を得ておくと確かです。
個人が個人に売る場合にも、消費者契約法は使えますか?
消費者契約法が適用されるのは、消費者と事業者との間の契約です(同法2条3項)。個人どうしの売買は、売主が事業者でなければ、通常は適用されません。民法の売買の規定が中心になります。ただし、個人でも、事業として反復継続して売買していると評価される場合は、事業者にあたる可能性があります。その判断は取引の態様によるため、条文と消費者庁の資料で確認が必要です。
契約書には最低限、何を書けばよいですか?
当事者、目的物、代金、引渡し、所有権の移る時、品物に不具合があったときの扱い、解除の七つに答えが書かれていれば、争点の大半は押さえられます。まず、この七つを一枚にまとめ、そのうえで、分割払いや取り置きなど、取引に特有の事情があれば条項を足します。
代金を分割で受け取る場合、割賦販売法の対象になりますか?
割賦販売法の「割賦販売」は、代金を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受領することを条件として、指定商品などを販売するものなどです(同法2条1項)。営業として行わない個人の売買が対象になるかどうかは、対象の商品が政令で指定されているかなども含めて、条文と経済産業省の資料で確認が必要です。分割払いの契約書では、支払日・金額、遅れたときの扱い、解除後の精算を書面で決めておきます。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、品物の状態、当事者が個人か事業者か、やり取りの経過によって結論が変わることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。確認できなかった点は、条文と所管官庁の資料で確認が必要としています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 警察庁 / 国民生活センター