このページの要点
- 最初に、契約の内容と記録(契約書、取引画面、メッセージ、振込、写真)を保存し、求めることを一つに絞る。
- 解除は原則として相当の期間を定めた催告が前提で(541条)、意思表示は到達した時に効力を生じ、撤回できない(540条・97条)。
- 少額訴訟(60万円以下)と支払督促は、金銭請求の制度として条文に定めがある(民事訴訟法368条・382条)。
- 契約不適合の通知期間(1年)と債権の時効は別のもの。期間の起点を記録で確認する。
結論:まず記録をそろえ、求めることを一つに絞り、段階を踏んで進める
代金が入らない、物が届かない、偽物だった、壊れていた。売買でトラブルが起きたとき、多くの人は感情的に相手へ連絡して、やり取りが荒れてしまいます。そこで最初に必要なのは、強い言葉ではなく、契約の内容とやり取りの記録を確認することです。何をどう約束したのかが分からなければ、相手に何を求められるのかも決められません。
結論を先に整理します。トラブル時の進め方は、おおむね次の順序です。第一に、契約の内容と記録を確認する。第二に、自分が求めることを一つに絞る(代金の支払、品物の引渡し、追完、代金の減額、契約の解除、損害賠償など)。第三に、相手に連絡して履行を求める。第四に、応じないときは、相当の期間を定めて催告する。第五に、それでも履行されないときは、解除や請求の手続に進む。制度としては、少額訴訟や支払督促があります。
- 契約の内容は、契約書、取引画面、メッセージのやり取り、商品ページの記載、領収書などで確認する。
- 求めることは、代金なのか、品物なのか、契約をなかったことにすることなのか、一つに絞ってから連絡する。
- 履行を求めるときは、日付と内容が残る方法で伝える。口頭や電話だけでは、記録に残らない。
- 解除は相手に対する意思表示で行い(民法540条1項)、いったん行うと撤回できない(同条2項)。解除の前に、催告が必要かどうかを確認する。
- 時効や通知期間があるため、先延ばしにせず、期間の起点を確認する。
このページは、すでに揉めている、あるいは揉めそうなときの整理に絞ります。紛争の見通しや、手続を代理することは扱いません。契約不適合の通知期間の仕組みは中古品の不適合、代金が分割で払われないときの条項は分割払い、発送後に壊れた・届かない場合の負担は引渡し・配送のページでそれぞれ扱っています。
最初に確認すること:契約の内容と、残っている記録
トラブルの初期にやるべきことは、事実の確定です。何を、いくらで、いつまでに、どんな状態で引き渡すと約束したのか。この「約束の中身」は、書面があればそれが中心になり、書面がなければ取引画面の記載、メッセージのやり取り、出品時の説明文と写真が材料になります。
次に、実際に何が起きたのかの記録を集めます。代金の振込記録、発送の伝票と追跡の履歴、受け取った品物の状態の写真、不具合の動画、相手とのメッセージ。これらは、時間がたつと消えたり、上書きされたりします。取引画面の記載は、出品が削除されると確認できなくなることがあります。トラブルに気づいた時点で、画面を保存しておくことが大切です。
トラブルの初期に、確かめる問いと理由
問い契約の内容は、どの資料で確認できるか。
理由書面がなくても、取引画面や説明文、メッセージの履歴が約束の中身を示す資料になる。
問い自分が履行すべきことは、すべて済んでいるか。
理由自分の側に未履行があると、相手が同時履行の抗弁(民法533条)で拒める場合がある。
問い不具合や不履行に気づいた日は、いつか。
理由契約不適合の通知期間は、不適合を知った時から1年(民法566条)。起点の記録が大切。
問い相手の氏名、住所、連絡先は、特定できているか。
理由請求や通知の相手が特定できないと、手続を進められない。
問い品物は今どこにあり、どんな状態か。
理由返還や追完を求めるとき、現状の記録が争いの材料になる。
残しておく記録のチェックリスト
- 契約書、取引画面のスクリーンショット、商品説明文と写真の保存
- 相手とのメッセージの全履歴(日付と時刻が分かる形で)
- 代金の振込記録、領収書、手付や内金の受領の記録
- 発送伝票、追跡の履歴、受領書、荷姿の写真
- 受け取った品物の外観・動作の写真と動画、不具合の発生日の記録
- 相手の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、アカウント名の控え
トラブルの類型別:代金が入らない、物が届かない、偽物だった、壊れていた
同じ「トラブル」でも、類型によって見るべき条文が違います。ここでは、よくある四つの類型を並べて、何を確かめ、どこに進むのかを整理します。
トラブルの類型別に、確かめることと進む先
代金が入らない
起きがちなこと約束の日を過ぎても振込がない。分割の途中で止まった。
防ぐ書き方契約の内容(支払期限、遅延損害金、期限の利益の喪失)を確認し、履行を求めて催告する。分割の場合の条項は分割払い。
類型が重なる場合もあります。たとえば、偽物で、かつ代金が戻らない、という場合は、複数の観点で整理します。
それぞれの類型で、まず確かめるのは、契約書や取引画面の記載で「何が約束されたか」です。偽物の場合は、本物であることが契約の内容になっていたかどうかが、契約不適合の判断の出発点になります(民法562条・同法415条)。壊れていた場合は、説明にあった状態と実物の差、そして買主がその状態を知っていたかどうかが論点です。
催告と解除の枠組み:相当の期間を定めて履行を求める
相手が債務を履行しないとき、契約を解除するには、原則として、相手に履行を催告する必要があります。民法541条は、当事者の一方がその債務を履行しない場合に、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、契約の解除ができると定めています。ただし、期間を経過した時の債務不履行が、契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できません。
催告が要らない場合もあります。民法542条1項は、債務の全部の履行が不能であるとき、債務者が全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、特定の日時までに履行しなければ契約をした目的を達することができない場合にその時期を経過したとき、催告をしても履行される見込みがないことが明らかであるときなどに、催告なしで直ちに解除できると定めています。ただし、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、解除できません(同法543条)。
解除は、相手方に対する意思表示によって行い(同法540条1項)、一度行った意思表示は撤回できません(同条2項)。意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じます(同法97条1項)。通知は、到達したことと、いつ到達したかを後から示せる方法で行うことが大切です。
解除の効果は、各当事者が相手方を原状に復させる義務を負うことです(同法545条1項)。金銭を返還するときは、受領の時から利息を付さなければならず(同条2項)、金銭以外の物を返還するときは、受領の時以後に生じた果実も返還します(同条3項)。そして、解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げません(同条4項)。債務不履行による損害賠償は、民法415条に定めがあります。
履行の催告から解除までの流れ(一般的な例)
- 事実の確認契約の内容、履行の状況、記録を確認する
- 履行の請求日付の残る方法で、何を、いつまでに履行してほしいかを伝える
- 催告相当の期間を定めて、履行を求める旨を書面等で通知する(541条)
- 解除の意思表示期間内に履行がなければ、解除する旨を通知する(540条)
- 原状回復・損害賠償代金・品物を返還し、必要に応じて損害賠償を請求する(545条)
催告と解除の通知を一つの書面にまとめる書き方もあります。内容証明の形式は、別のガイドで扱っています。
催告や解除の通知書に書く内容を、一般的な例で示します。書き方は取引ごとに変わりますが、骨組みは共通です。
条項の例催告・解除の通知書に書く事項の例(書き方の一般的な例)
- 通知人および相手方の氏名、住所を記載し、対象となる売買契約(契約を結んだ日、品物の名称・型番、代金)を特定する。
- 履行されていない事実(代金の未払い、品物の未引渡し、契約の内容と異なる点など)を、日付とともに簡潔に書く。
- 求める履行の内容(○円の支払、品物の引渡し、不適合の追完など)と、履行の期限(通知到達後○日以内)を書く。
- 期限までに履行がないときは、契約を解除する旨を、あらかじめ書く。あわせて、損害賠償を請求する場合はその旨を書く。
- 通知の日付を記載し、通知人が署名する。通知の内容と発信の日を、控えとして保管する。
感情的な表現や、事実と異なる記載は避けます。事実と求めることだけを淡々と書くのが、後日の資料として役に立ちます。
書き方の例(一般的な例) 催告の書き方
求めること
理由求める内容が特定されていないと、履行されたかどうかを判断できず、催告として不十分になるおそれがある。
期限
理由民法541条は「相当の期間を定めて」催告することを要件にしているため。
解除の予告
理由履行の機会を与えたことが、記録として残る。
金銭を求める場面:遅延損害金・時効・通知期間
代金が支払われないときは、金銭債務の不履行になります。金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定めます。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率によります(民法419条1項)。この損害賠償では、債権者は損害の証明をする必要がなく(同条2項)、債務者は不可抗力を抗弁にできません(同条3項)。
法定利率は、年3パーセントを出発点とし、法務省令で定めるところにより3年を一期として変動する仕組みです(同法404条2項・3項)。したがって、具体的な率は、遅滞の責任を負った時点で適用される率を、法務省令・告示で確認する必要があります。契約書に遅延損害金の率を書いていれば、約定の率が法定利率を超えるときはそちらによります。事業者が消費者に請求する場合は、年14.6パーセントを超える部分が無効になる点にも注意が必要です(消費者契約法9条2号)。
もう一つ、時効の問題があります。債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法166条1項)。時効の完成を一時的に止める方法として、催告があります。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は時効は完成しません(同法150条1項)。ただし、催告によって完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しません(同条2項)。
裁判上の請求や支払督促があると、その事由が終了するまでの間は時効は完成せず(同法147条1項)、確定判決などで権利が確定したときは、事由の終了した時から新たに時効が進行します(同条2項)。また、債務者が権利の承認をしたときは、時効はその時から新たに進行を始めます(同法152条1項)。売買代金の請求が時効の期間内にあたるかどうかは、起点の確認が前提です。
金銭請求と時効に関わる条文メモ
民法419条
金銭債務の遅延損害金
法定利率により定める。約定利率が法定利率を超えるときは約定利率。損害の証明は不要。
民法404条
法定利率
年3パーセントを出発点とし、3年を一期として変動する。
民法166条1項
債権の消滅時効
権利を行使できることを知った時から5年、または行使できる時から10年。
民法150条
催告による完成猶予
催告の時から6か月間は時効が完成しない。再度の催告に猶予の効力はない。
民法147条
裁判上の請求等
裁判上の請求や支払督促があれば、事由の終了まで時効は完成しない。
民法152条
承認による更新
権利の承認があったときは、その時から時効が新たに進行する。
条文の言い換えです。個別の期間の計算は、起点の確認が前提になります。
トラブルの場面で混同されやすいのが、契約不適合の通知期間と、債権の時効です。両者は、起算点も、期間も、効果も違います。
通知期間と時効の違い
| 項目 | 契約不適合の通知期間 | 債権の消滅時効 |
|---|---|---|
| 根拠 | 民法566条 | 民法166条1項 |
| 期間 | 買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する | 権利を行使できることを知った時から5年、または行使できる時から10年 |
| 期間内にしないと | 追完・代金減額・損害賠償・解除ができなくなる | 債権が時効によって消滅する |
| 例外 | 売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときは適用されない | 催告や裁判上の請求などで、完成が猶予される(150条・147条) |
たとえば、中古品の不具合に気づいてから1年以内に売主へ通知しなかった場合、時効の期間はまだ残っていても、不適合を理由とする追完や減額などの請求ができなくなる場合があります。逆に、通知はしたが、その後の代金の請求を長く放置すれば、時効の問題が出てきます。トラブルを整理するときは、どの権利を、どの期間の中で行使するのかを区別して確認します。
売主が引渡しの時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときは、1年の制限は働きません(民法566条ただし書)。ただし、これは売主が知っていたことを買主が示す必要がある場面で、証拠が残っているかどうかが問題になります。メッセージの履歴や出品時の説明文が、ここでも材料になります。
少額訴訟と支払督促:裁判所の手続の紹介
相手が催告にも応じない場合に、金銭の支払を求める手続として、民事訴訟法に定められた制度が二つあります。ここでは、制度の概要の紹介にとどめます。手続の代理や、紛争の見通しの判断は、このガイドでは扱いません。
一つは少額訴訟です。簡易裁判所では、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理および裁判を求めることができます。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に、最高裁判所規則で定める回数を超えて求めることはできません(民事訴訟法368条1項)。少額訴訟による審理を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければなりません(同条2項)。
少額訴訟には、いくつかの特徴があります。反訴を提起できないこと(同法369条)。被告は、通常の手続に移行させる旨の申述をすることができること(同法373条1項)。裁判所は、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲で、支払の時期の定めや分割払の定めをすることができること(同法375条1項)。そして、少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができないこと(同法377条)です。
もう一つは支払督促です。金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができます。ただし、日本において公示送達によらないで送達することができる場合に限られます(同法382条)。支払督促は、債務者を審尋しないで発せられ、債務者は、支払督促に対して、督促異議の申立てをすることができます(同法386条)。異議の申立てがあれば、通常の訴訟の手続に進むことになります。
少額訴訟と支払督促の比べ方(制度の概要)
| 項目 | 少額訴訟 | 支払督促 |
|---|---|---|
| 対象 | 60万円以下の金銭の支払請求(民事訴訟法368条1項) | 金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求(同法382条) |
| 手続の入り口 | 簡易裁判所へ訴えを提起し、少額訴訟を求める旨を申述する | 裁判所書記官に申立てをする |
| 相手が争うとき | 通常の手続への移行を求められる(同法373条) | 督促異議の申立てで、通常の訴訟に進む(同法386条2項・395条) |
| 特徴 | 反訴ができない。控訴ができない(同法369条・377条)。支払の猶予や分割の定めがされることがある(同法375条) | 債務者を審尋しないで発せられる(同法386条1項) |
どちらの制度にも、利用できる条件があり、実際の手続では書類の形式や費用が必要です。手続の詳しい進め方や、どちらが適しているかの判断は、裁判所の公表資料などで確認が必要です。ここで押さえておきたいのは、「話し合いで解決しないときに、裁判所の手続という選択肢がある」ことと、それぞれの制度の要件が条文で決まっていることです。
よくある疑問の入口:どのページを見ればよいか
売買のトラブルで特に多い疑問を、このガイドの該当ページへの入口として並べます。詳しい説明は、各ページに譲ります。
よくある疑問と、見るべきページ
| 疑問 | 要点 | 詳しく扱うページ |
|---|---|---|
| 「ノークレーム・ノーリターン」と書いてあれば、何も言えないのか | 個人間では特約として書けるが、知りながら告げなかった事実は免れない。事業者が消費者に売る場合は、消費者契約法で無効になる部分がある | ノークレーム |
| 分割払いが遅れたとき、残りを一括で請求できるか | 期限の利益の喪失の条項を、遅れた回数や催告とともに契約書に定めておく | 分割払い |
| 手付を払ったあとにやめたいとき、どうなるか | 買主は手付を放棄し、売主は倍額を提供して解除できる。相手が履行に着手するまで | 手付・取り置き |
| 未成年者に売った・買ったとき、取り消されるか | 法定代理人の同意がなければ取り消せる。同意書を取引ごとに取る | 未成年・代理人 |
| 無料で譲ったのに、あとから返してと言われた | 贈与か使用貸借かで変わる。書面によらない贈与は、履行が終わった部分を除き解除できる | 譲る・贈与 |
起きがちなこと:トラブルの対応で、状況を悪くしてしまう典型
起きがちなこと
- やり取りを電話だけで済ませ、何を言ったか、いつ言ったかの記録が残らない。
- 出品ページや取引画面を保存しないまま、相手が出品を削除して、約束の中身を示す資料が消える。
- 感情的な文面を送り、事実と異なる主張が混ざって、後の資料としての価値が下がる。
- 履行を求める期限を定めず、「早く」とだけ伝えて、催告として扱えるか分からなくなる。
- 不具合に気づいてから1年以内に通知しなければならないことを知らず、放置して権利を失う。
- 催告もしないまま、直ちに解除したと伝えて、解除が認められるかが争点になる。
- 代金の請求を長く放置し、時効の期間の起点を確認しないまま、時間が過ぎる。
トラブルの整理は、記録、求めること、通知、制度の順に、一つずつ進めます。立場の違いによって適用される法令が変わる点は立場別の法令のページに、契約書に最初から何を書いておくべきかは全体像と書面のページにまとめています。
よくあるご質問
「ノークレーム・ノーリターン」と書いてあっても、不具合を言えますか。
個人どうしの売買では、責任を負わない旨の特約をすることができますが、売主が知りながら告げなかった事実などについては責任を免れません(民法572条)。事業者が消費者に売る場合は、消費者契約法8条により、責任を全部免除する条項などが無効とされることがあります。また、「ノークレーム」(不具合への責任)と「ノーリターン」(返品の可否)は別の話です。どちらの立場の取引かで結論が変わるため、売主が個人か事業者かをまず確認します。
分割払いが遅れたとき、残りを一括で請求できますか。
残額を一括で請求できるかどうかは、契約書に期限の利益の喪失の条項があるかによって変わります。条項がある場合は、何回の遅れで、催告が必要か、といった条件を確認します。条項がない場合や条件を満たさない場合は、まず履行を催告し、期間内に履行がなければ解除を検討する、という段階を踏みます(民法541条)。事業者が消費者に請求する遅延損害金は、年14.6パーセントを超える部分が無効です(消費者契約法9条2号)。
手付を払ったあとにやめたくなったら、どうなりますか。
買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます(民法557条)。ただし、手付を渡す意味は、解約手付のほかに、契約成立の証拠や違約に備えるものなどがあります。どの性質で渡したのかを書面で確認し、内金や前払金と区別してください。
未成年者に売った場合、あとから取り消されることはありますか。
未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為は、取り消すことができます(民法5条2項)。取り消されると、契約は初めから無効だったものとみなされ(同法121条)、売主は代金を返し、未成年者側は現に利益を受けている限度で返す形になります(同法121条の2第1項・3項)。取引の前に、年齢を確認し、18歳未満なら親権者の同意を書面で取っておくことが、最も現実的な備えです。
無料で譲った物について、あとから不具合を言われたり、返してと言われたりしたらどうなりますか。
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することで成立します(民法549条)。書面によらない贈与は、各当事者が解除できますが、履行の終わった部分は除かれます(同法550条)。贈与者は、贈与の目的である物を、特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定されます(同法551条)。「あげた」のか「貸した」のかで扱いが変わるため、譲る前に書面で区別しておくのが望ましいです。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、品物の状態、当事者が個人か事業者か、やり取りの経過によって結論が変わることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。確認できなかった点は、条文と所管官庁の資料で確認が必要としています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 警察庁 / 国民生活センター