代金を分割で払う売買契約書:個人間の分割払いの条項と、割賦販売法の線引き

高い物を分割で売る、あるいは買うとき、割賦販売法の書面が必要かと、遅れたときにどうするかが気になります。個人間の取引は民法の枠で書き、事業者が消費者に売るときは消費者契約法の制限も見ます。

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「月払い」とだけ書いた書面では、遅れたかどうか、残りを請求できるかどうかが決まりません。

このページの要点

  • 割賦販売法の割賦販売は、2か月以上の期間にわたり3回以上に分割して代金を受領することを条件に、指定商品などを売ること。義務を負うのは割賦販売を業とする者である。
  • 個人間の分割払いでも、支払日・金額・方法・領収、遅れたときの催告と期限の利益の喪失は、書面で決める。
  • 遅延損害金は、事業者が消費者に売るとき年14.6%を超える部分が無効(消費者契約法9条2号)。解除後の既払金・品物・使用の対価の精算も書く。
  • 保証人を付けるなら、保証契約は書面(電磁的記録を含む)でしなければ効力を生じない(民法446条2項)。

結論:個人間の分割払いは民法の枠で書く。割賦販売法が働くのは「業として」「指定商品を」「2か月以上・3回以上」で売るとき

高価な物を、知人や、ネットで知り合った相手に、代金を何回かに分けて受け取る約束で売る。あるいは、そう約束して買う。このとき、まず気になるのが「割賦販売法の書面が必要なのか」という点です。結論から言えば、営業としてではなく、1回限りで知人に売る個人間の取引は、割賦販売法の義務の相手方にならないのが通常です。そのうえで、分割払いに伴う問題、つまり、遅れたときの扱い、残りをまとめて請求できる条件、遅延損害金、解除したときの既払金の扱いを、書面で決めておく必要があります。

  • 割賦販売法が書面の交付や催告の手順などの義務を課すのは、割賦販売を業とする者(割賦販売業者)で、しかも、代金を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受け取る条件で、政令で定める指定商品などを売る場合である(同法2条1項1号、3条、4条、5条)。
  • 個人が自分の物を1回限りで売る取引は、「業として」の割賦販売ではないのが通常である。ただし、繰り返し売っている場合や、仕入れて売っている場合は、事業としての性格が出てくるため、個別の確認が必要になる。
  • 割賦販売法の対象でなくても、分割払いの条項は書くべきである。支払日と金額、遅れたときに残額を一括で請求できる条件、遅延損害金、解除のときの既払金と品物の扱いを決めておく。
  • 売主が事業者で買主が消費者のときは、遅延損害金のうち年14.6%を超える部分が無効になる(消費者契約法9条2号)。解除に伴う違約金も、同法9条1号の制限を受ける。
  • 完済まで品物の所有権を売主に残す所有権留保は、分割払いの条項とは別に書く必要がある。所有権留保の書き方で扱う。

契約書の全体像は個人間売買の契約書の全体像、手付や頭金の扱いは手付金・内金・取り置きの契約書で整理しています。貸付の分割返済や、講座代金の分割払いは、このガイドでは扱いません。

割賦販売法の対象かどうか:五つの条件で見る

割賦販売とは、割賦販売法2条1項1号に定められた販売の方法です。購入者から商品や権利の代金を、2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受け取ることを条件として、指定商品や指定権利を販売する、あるいは指定役務を提供するものを指します。指定商品とは、定型的な条件で販売するのに適する商品であって政令で定めるものです(同法2条5項)。

そして、この法律の割賦販売の章が義務を課す相手方は、割賦販売を業とする者である「割賦販売業者」です(同法3条1項)。書面の交付(同法4条)、催告の手順(同法5条)、損害賠償額の制限(同法6条)、所有権の推定(同法7条)も、割賦販売業者を主語にして書かれています。五つの条件に分けて、個人間の売買に当てはめてみます。

割賦販売法の割賦販売に当たるかどうかの見方

条件条文の内容個人間の中古品売買での見方
分割の期間代金を「二月以上の期間にわたり」受け取ること(同法2条1項1号)。1回目から最終回までが2か月未満であれば、この条件を満たさない。期間の数え方は条文と所管官庁の資料で確認する。
分割の回数代金を「三回以上に分割して」受け取ること(同法2条1項1号)。2回払いは、この条件を満たさない。頭金と残金の2回に分ける場合がこれに当たる。
売る品物政令で定める指定商品、指定権利、指定役務であること(同法2条5項)。個々の品物が指定商品に当たるかどうかは、政令で確認する。条文だけでは決まらない。
売る人割賦販売を業とする者(割賦販売業者)が主体(同法3条1項、4条以下)。知人に自分の使っていた物を1回売る個人は、「業として」の売主ではないのが通常。事業として繰り返し売る場合は別に検討する。
買う人営業のために、または営業として契約する者への割賦販売には、割賦販売の章の規定が適用されない(同法8条1号)。買主が事業用の機材として買う場合は、適用除外に当たる場合がある。

表の五つを全部満たすのは、事業者が、消費者向けの指定商品を、2か月以上・3回以上の分割払いで売る場面です。個人間の売買は、少なくとも「売る人」の条件を満たさないため、割賦販売法の書面交付などの義務は通常は生じません。ただし、割賦販売法が働かないことは、分割払いのリスクが小さいという意味ではありません。民法の規定で足りない部分、つまり期限の利益の喪失や遅延損害金などを、契約書で補う必要があります。

なお、カード会社などを通して代金を分割する仕組み(信用購入あっせん)は、割賦販売法の別の定義(同法2条3項・4項)に当たる仕組みです。ここで扱うのは、売主と買主が直接、代金を分けて受け渡しをする場合に限ります。

分割払いの条項の組み立て:支払日・金額・方法・領収を具体的に書く

分割払いの条項で、最初に書くのは「いくらを、いつ、どこへ、何回で」です。口約束の段階では「月々○円」とだけ決めていても、最終回の端数や、支払日が休日になったときの扱い、振込手数料の負担まで決めていないことが多く、これが遅れや不足の言い訳になりやすい部分です。

  • 代金の総額(税込・税別のどちらかを明記)と、分割の回数、各回の金額、最終回の端数の調整方法を書く。
  • 支払日を「毎月○日」のように決め、その日が金融機関の休業日のときは翌営業日とするかどうかも書く。
  • 振込先の口座と、振込手数料をどちらが負担するかを書く。民法485条は、弁済の費用について別段の意思表示がないときは、債務者の負担としている。
  • 繰上払い(予定より早く払うこと)を認めるか、認めるなら残額の全額に限るのか、一部でもよいのかを書く。
  • 受取りの確認方法を書く。民法486条は、弁済をする者が、弁済と引換えに受取証書の交付や、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求できると定めている。
  • 品物を引き渡す時期(初回の支払後か、頭金の受領後か、完済後か)を書く。

民法575条2項は、買主は引渡しの日から代金の利息を支払う義務を負うが、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは利息を支払うことを要しない、と定めています。分割払いの各回に支払期日が決まっていれば、その期日が来るまで、条文上の利息は生じません。分割払いの代金に手数料を上乗せする場合は、その金額を「代金に加える額」として別に書いておくと、総額と各回の金額が合っているかを確かめやすくなります。

条項の例分割払いの条項の書き方

  1. 買主は、売主に対し、本件物品の代金として、金○円(税込)を、次のとおり分割して支払う。
  2. 初回は、金○円とし、○年○月○日までに支払う。2回目以降は、毎月○日限り、金○円を支払う。最終回は、金○円とする。
  3. 前項の支払期日が金融機関の休業日のときは、その翌営業日を支払期日とする。
  4. 支払は、売主の指定する口座への振込により行い、振込手数料は買主の負担とする。
  5. 買主は、いつでも、残代金の全部を前倒しして支払うことができる。この場合、残代金に対する期限までの利息は付さない。
  6. 売主は、各回の支払を受け取ったときは、買主の請求により、受領を確認できる書面または電磁的記録を交付する。

○は取引ごとに決める。税込・税別の別は、金額の表記ごとに必ず書く。

書き方の例(一般的な例) 分割払いの条項

支払の書き方

よくある書き方「代金は月払いで払う」
整えた書き方「代金○円を、毎月○日限り、○円ずつ、○回に分けて支払う。最終回は端数を調整して○円とする。」

理由回数、日、金額が具体的に決まっていれば、遅れたかどうかを客観的に判断できる。

品物の引渡し

よくある書き方「分割払いが始まったら渡す」
整えた書き方「初回の支払を受けた後、○年○月○日までに、買主に引き渡す。」

理由引渡しと所有権の移転の時期を分けて書くことで、完済前に品物が買主にある状態の責任も整理しやすい。

支払が遅れたとき:期限の利益、催告、一括請求の組み立て

分割払いでは、買主は、各回の支払期日が来るまでは支払わなくてよい立場にあります。この立場を「期限の利益」といいます。民法136条は、期限は債務者の利益のために定めたものと推定する、と定めています。買主が1回遅れても、残りの回の期日が来ていなければ、売主は残額を請求できないのが原則です。

民法137条は、債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたとき、担保を供する義務を負うのに供しないとき、期限の利益を主張できないと定めています。それ以外の場合に、遅れたら残額を一括で請求できるようにするには、契約書にその旨を書く必要があります。これを「期限の利益の喪失条項」といいます。

支払が遅れたときの流れ(一般的な例)

  1. 遅れの確認支払期日に入金がないことを、通帳や取引記録で確かめる。
  2. 連絡と督促メッセージなどで、支払うよう連絡する。遅れの理由と支払の見込みを確かめる。
  3. 書面による催告支払うべき金額と、いつまでに支払うかを定めた書面を送る。期間は、契約書に決めた日数か、相当な期間とする。
  4. 一括請求または解除期限の利益喪失の条件を満たしたときは、残額の一括を請求する。または、契約の解除を通知する(民法541条)。

個人間の取引では、督促と催告を分けて記録に残しておくと、あとで経過を説明しやすくなります。

民法541条は、当事者の一方が債務を履行しない場合に、相手方が相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときに契約を解除できると定めています。ただし、その期間を経過した時の不履行が、契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できません。分割払いの最終回の端数だけが少額で未払い、といった場面がこの例です。

割賦販売法5条1項は、割賦販売業者が、賦払金の支払の義務が履行されないときに、20日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内に履行されないときでなければ、支払の遅滞を理由として契約を解除し、または支払時期の来ていない賦払金の支払を請求できない、と定めています(同条2項により、これに反する特約は無効)。この条文は割賦販売業者を主体としたものですが、個人間の取引でも、催告に十分な期間を取る書き方は、一方的でない条項として参考になります。

書き方の例(一般的な例) 期限の利益の喪失

喪失の条件

よくある書き方「1日でも遅れたら、残額を直ちに全額支払う」
整えた書き方「支払期日までに支払がなく、売主が書面で催告した後○日以内に支払がないときは、買主は期限の利益を失い、残代金の全額を直ちに支払う。」

理由催告を挟み、猶予の日数が決まっていれば、軽い遅れで全額請求になることを避けられる。事業者が消費者に売る場合は、消費者契約法10条の評価にも耐えやすい。

連続遅れ

よくある書き方(定めなし)
整えた書き方「支払期日の遅れが2回続いたとき、または合計で○日を超えたときは、前項と同様とする。」

理由一時的な遅れと、続く遅れを区別することで、売主の守りも明確になる。

遅延損害金:民法の法定利率と、消費者契約法9条2号の年14.6%

支払が遅れたときの損害賠償は、特に決めがなければ、民法419条1項により、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で計算します。法定利率は、民法404条2項が年3パーセントとしたうえで、3年を一期として見直される仕組み(同条3項)です。実際の利率は、法務省の公表で確認する必要があります。債権者は、損害の証明をする必要はありません(民法419条2項)。

契約書で、これより高い遅延損害金を定めることもできます。民法420条は、当事者が債務の不履行について損害賠償の額を予定できると定めています。ただし、売主が事業者で、買主が消費者であるときは、消費者契約法9条2号が働きます。支払期日までに支払わない場合の損害賠償の額の予定や違約金が、支払期日の翌日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、支払うべき額から既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるとき、その超える部分は無効になります。

遅延損害金の決め方

場面適用される考え方書面で決めること
個人が個人に売る民法419条の法定利率が基本。契約で高い率を定めることもできる(民法420条)。遅延損害金の率。定めないときは法定利率になる。
事業者が消費者に売る年14.6%を超える部分は無効(消費者契約法9条2号)。年14.6%以下の率。遅れた日数に応じて計算する方法。
事業者が割賦販売で指定商品を売る解除しない場合は、割賦販売価格から既払の賦払金を引いた額に法定利率の遅延損害金を加えた額が上限(割賦販売法6条2項)。条文と所管官庁の資料で確認が必要。

書面には、遅延損害金の率とあわせて、計算の起算日と終了日を書いておきます。「支払期日の翌日から、支払をする日まで」と書き、年何パーセントで日割計算するのかを明記すると、金額の食い違いが起きにくくなります。

解除したとき:既払金、品物、使用の対価をどう精算するか

分割払いの途中で契約が解除されたとき、すでに払った代金と、買主の手元にある品物をどうするかが問題になります。民法545条1項は、当事者の一方が解除権を行使したときに、各当事者が相手方を原状に復させる義務を負う、と定めています。売主は受け取った代金を返し、買主は品物を返す、という関係になります。

  • 金銭を返すときは、その受領の時から利息を付けなければならない(民法545条2項)。
  • 金銭以外の物を返すときは、受領の時以後に生じた果実も返還しなければならない(同条3項)。
  • 解除権を行使しても、損害賠償の請求は妨げられない(同条4項)。
  • 買主が品物を使っていた期間の対価(使用料相当額)は、条文に明記がない。精算の対象にするなら、契約書に書く。

書面に「解除の場合、既払金は一切返還しない」と書く例があります。これは、実質的に違約金の定めとして働きます。民法420条の賠償額の予定は、当事者が自由に決められるのが原則ですが、事業者が消費者に売る場合は、解除に伴う違約金が、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は、無効です(消費者契約法9条1号)。割賦販売業者が指定商品を割賦販売して解除した場合は、品物が返還されたときは通常の使用料の額などに法定利率の遅延損害金を加えた額が、請求できる上限とされています(割賦販売法6条1項1号)。

条項の例解除したときの精算の条項の書き方

  1. 売主が本契約を解除したときは、買主は、直ちに本件物品を売主に返還する。返還に要する費用は買主の負担とする。
  2. 売主は、買主から返還された本件物品の状態を確認し、通常の使用による劣化を超える損傷があるときは、その修理費用または損傷による減価額を、買主に請求することができる。
  3. 売主は、既に受領した代金から、前項の費用、未払の遅延損害金および使用の対価として当事者が合意した額(金○円)を差し引いた残額を、買主に返還する。
  4. 前項の差引きにより、なお不足があるときは、買主は、その不足額を直ちに支払う。

使用の対価は、期間・金額の決め方を取引ごとに決める。事業者が消費者に売る場合は、金額を消費者契約法9条1号の趣旨に合わせて検討する。

保証人を付けるとき、完済を確認するとき

分割払いの代金が高額になると、買主の家族や知人を保証人にしたい、という場面があります。民法446条2項は、保証契約は書面でしなければ、その効力を生じない、と定めています。保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされます(同条3項)。口頭の約束やメッセージのやり取りの断片で保証を取り付けても、書面の要件を満たさず、効力を生じないおそれがあります。

保証人の責任の範囲は、売買契約書に書く分割払いの条項とは別に、保証人との間で保証契約書を作って決めます。保証する金額(代金の残額、遅延損害金、解除のときの返還金など)の範囲、保証人が負う期間を、書面で特定します。

完済のときは、完済日と最終回の入金を確認し、完済を確認する書面(領収書や完済確認書)を渡します。民法486条の受取証書の交付請求と同じ考え方です。完済確認書は、所有権留保の取引では、所有権が買主に移る日を示す書面としても使えます。

分割払いの契約前に確かめる問い

  1. 問い売る人は、営業として分割払いで売っていないか。

    理由営業として割賦販売をしている場合は、割賦販売法の対象になりうるため。

  2. 問い分割払いの回数と期間は、2か月以上・3回以上に当たるか。

    理由割賦販売の定義の条件になるため。2回払いや、2か月未満の支払では、定義に当たらない。

  3. 問い支払が遅れたときの催告の方法と、猶予の日数は決まっているか。

    理由催告がないままの一括請求や解除は、軽微な不履行では認められないことがあるため(民法541条ただし書)。

  4. 問い品物が買主の手元にあるうちに、売主はどこまで関与できるか。

    理由完済前の転売・貸与・質入れを防ぐ条項が必要になるため。

  5. 問い保証人を付けるなら、書面(または電磁的記録)を別に用意しているか。

    理由保証契約は書面でしなければ効力を生じないため(民法446条2項)。

起きがちなこと:分割払いの書き方の落とし穴

分割払いの売買契約書で起きがちなこと

  • 「月払いで払う」とだけ書いて、回数・日・金額を決めなかったため、1回の遅れが、遅れなのか、そもそも約束がなかったのかで争いになった。
  • 期限の利益の喪失条項がなく、1回の遅れで残額を請求しようとしたが、残りの回の期限がまだ来ていないとして断られた。
  • 遅延損害金を年14.6%より大きく超える率で書いたが、売主が事業者で買主が消費者だったため、年14.6%を超える部分が無効になった。
  • 催告を挟まず解除を通知したが、不履行が軽微だとして、解除の効力が争われた。
  • 解除の際の精算を書いていなかったため、既払金を返すのか、使った期間の対価を差し引くのかで揉めた。
  • 保証人にするつもりで、メッセージで「お願いします」と承諾を得ただけで、書面の保証契約を作っていなかった。

これらの多くは、書面で、回数・日・金額、遅れたときの手順、遅延損害金、解除の精算を決めておけば避けられます。品物が買主の手元にある間の扱いは所有権留保の書き方で、すでに揉めている場合の整理は売買でトラブルになったときで、売る人・買う人の立場による適用法令の違いは立場別の適用法令で扱っています。

よくあるご質問

個人間で代金を分割払いにすると、割賦販売法の書面が必要ですか?

割賦販売法の書面交付などの義務は、割賦販売を業とする者(割賦販売業者)に課されています(同法3条、4条)。営業としてではなく、1回限りで知人に売る個人の取引は、通常はこの対象になりません。ただし、繰り返し売っている場合などは事業としての性格が出るため、個別の確認が必要です。対象外でも、分割払いの条項を書面にしておく必要があります。

代金を2回に分けて受け取る場合も、割賦販売法の対象になりますか?

割賦販売法2条1項1号の割賦販売は、代金を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受け取ることを条件とします。2回払いは、この回数の条件を満たしません。頭金と残金の2回払いに分ける取引は、この定義には当たりません。

支払が1回遅れたら、残りの代金を全額請求できますか?

特に決めがなければ、各回の期日が来るまで買主は支払わなくてよいので、1回の遅れで残りを請求することはできません(民法136条は期限を債務者の利益と推定)。残りの全額を請求するには、契約書に期限の利益の喪失条項を書いておく必要があります。催告の方法と猶予の日数も一緒に書くと、一方的な条項になりにくくなります。

遅延損害金は何パーセントまで決められますか?

個人が個人に売る場合は、契約で率を定めることができ、定めないときは民法の法定利率になります(民法419条、420条)。売主が事業者で買主が消費者のときは、遅延損害金のうち年14.6%を超える部分が無効になります(消費者契約法9条2号)。

分割払いの途中で解除した場合、払ったお金は返ってきますか?

解除すると、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負い、売主は受け取った代金を返し、買主は品物を返すのが原則です(民法545条1項)。金銭を返すときは受領の時から利息を付けます(同条2項)。使っていた期間の対価や、傷んだ分の精算は、契約書に書いておく必要があります。

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