このページの要点
- 真贋は、売主が約束するのか、しないのかを書面で決める。約束すれば、偽物は契約不適合になる。
- 保証書・鑑定書・領収書・シリアル・箱は、番号や日付が一貫しているかを確かめ、確認した日を残す。
- 盗品は、盗難の時から2年間、元の持ち主が回復を請求できる(民法193条)。即時取得(192条)は善意無過失が前提。
- 古物営業法は、自分の物を売るだけの個人と、業として売買する者を区別する。許可の手続はこのガイドでは扱わない。
結論:高額品は「本物かどうか」を契約の内容として書き、書類・シリアルで裏づけ、盗品の危険にも備える
時計、楽器、カメラ、貴金属、ブランド品などの高額品は、品物の価値が「本物であること」に大きく依存します。偽物であれば価値がほとんどなくなり、盗品であれば、せっかく買っても元の持ち主から返すよう求められることがあります。高額になるほど、口約束や取引画面の短い説明では足りません。このページの結論は次の五つです。
- 「本物であること」は、売主が約束するのか、しないのかを書面で決める。約束するなら、それが契約の内容になり、偽物は契約不適合として、追完・代金の減額・損害賠償・解除の対象になる(民法562条〜564条)。
- 保証書・鑑定書・購入時の領収書・シリアルナンバーは、真贋を裏づける材料だが、書類そのものの真偽も確かめる必要がある。契約書に添付する範囲と、確認した日付を残す。
- 偽物だと分かったときは、契約不適合の責任のほか、錯誤(民法95条)や詐欺(民法96条)による取消しという別の道もある。事実関係によってどれが使えるかが変わる。
- 盗品を買ってしまった場合、元の持ち主は、盗難の時から2年間、その物の回復を請求できる(民法193条)。買主が善意で過失がなければ即時取得(民法192条)が成立する余地があるが、高額品では過失の有無が厳しく見られやすい。
- 古物営業法は、業として古物を売買する営業を許可の対象としている。自分が持っていた物を売るだけの個人と、仕入れて売る事業とは区別される。このガイドは、許可の手続ではなく、契約書面と盗品・偽物のリスクに絞る。
契約書の全体像は個人間売買の契約書の全体像で、品物の特定と状態の記録は目的物と代金の書き方で整理しています。このページはその続きとして、高額品ならではの論点に絞ります。
真贋の約束:「本物であること」をどう書くか
高額品の取引で、まず決めるべきなのは、「本物であること」を売主が約束するのかどうかです。三つの書き方があり、それぞれ、買主と売主の負う危険が違います。
真贋に関する三つの書き方
| 書き方 | 意味 | 偽物だったときの扱い | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 本物であることを約束する | 売主が、本件物品は○○社の正規品であると約束する。 | 偽物なら契約の内容に適合しない。買主は追完(不能なことが多い)、代金の減額、損害賠償、解除を求められる。 | 売主が購入時の書類を持ち、真贋に自信があるとき。買主が高額を払うとき。 |
| 本物と思うが、保証はしない | 売主は本物と認識して売るが、真贋の判断は買主の責任とする。 | 偽物でも、売主が偽物と知っていなければ、責任を負わない特約として機能しうる。ただし、売主が知りながら告げなかった場合は免れない(民法572条)。 | 売主が来歴を詳しく知らず、売主が個人のとき。価格もそれを反映しているとき。 |
| 鑑定を条件にする | 買主が指定の第三者の鑑定を受け、本物と判断されたときに売買が確定する。 | 鑑定の結果で、契約を解除できる。鑑定費用、期間、結果が出なかったときの扱いを決める必要がある。 | 真贋の確認が重要で、売主・買主とも確実性を求めるとき。 |
表の三つのうち、どれを選んでも構いません。大切なのは、書かないまま売買を進めないことです。真贋について何も書かれていない場合、売主の説明(「正規品」「本物」といった言葉や、出品の画面の記載)や、価格、取引の経過から、契約の内容が判断されます。正規品の相場に近い値段で、売主が「本物」と説明していれば、本物であることが契約の内容になっていたと見られやすくなります。
条項の例真贋に関する条項の書き方(約束する場合)
- 甲は、本件物品が、○○社が製造した正規品であることを、乙に対して約束する。
- 本件物品が前項の正規品でないことが判明したときは、乙は、甲に対し、相当の期間を定めて、正規品の引渡し又は代金の返還を求めることができる。
- 甲は、本件物品の購入時の領収書、保証書、及び付属品を、乙に引き渡す。これらの書類が真正なものであることも、甲は約束する。
- 乙が前項の返還を求めるときは、本件物品を甲に返還し、甲は代金全額を乙に返還する。返還に要する費用は、甲の負担とする。
正規品の引渡しが可能かどうかは品物による。一点物では、実質的に代金の返還になることが多い。
条項の例真贋に関する条項の書き方(約束しない場合)
- 甲は、本件物品が正規品であると認識して乙に売却するが、その真贋について保証しない。
- 乙は、本件物品の真贋を、自己の責任において確認するものとし、甲に対し、真贋の確認を前提とする請求をしない。
- 前二項にかかわらず、甲が本件物品が正規品でないことを知りながら乙に告げなかったときは、この限りでない。
第3項は、民法572条を踏まえた書き方の例。売主が知っていた事実は、特約があっても免れない。
二つ目の書き方で、第3項を置くのは、民法572条を踏まえているためです。売主が偽物と知っていたのに「保証しない」と書いて売ったとしても、知りながら告げなかった事実については、責任を免れることができません。売主が自分は本物だと信じていたのなら、この第3項は売主の責任を拡げるものではなく、条項の有効性を保つ役割を果たします。
保証書・鑑定書・領収書・シリアルの確認と、書面への添付
高額品の真贋を裏づける材料には、いくつか種類があります。それぞれ、何を証明し、何を証明しないかを分けて考えます。
真贋を裏づける材料と、その限界
| 材料 | 何を裏づけるか | 限界・注意点 | 契約書面での扱い |
|---|---|---|---|
| 保証書 | 製造者または販売店が、一定期間の品質を保証する書類。購入の日付や販売店が分かることが多い。 | 保証書だけが別に出回ることがあり、品物と書類が本当に対応しているかの確認が必要。保証期間が切れている場合もある。 | 保証書の種類、日付、番号を書き、品物のシリアルと一致することを確認した日付を書く。 |
| 鑑定書・鑑別書 | 専門の第三者が、真贋や品質を判断した書類。 | 鑑定者の信頼性、鑑定の日付、鑑定の対象が現物と同一かどうかが問題になる。書類そのものが偽造されることもある。 | 発行者、発行日、鑑定の対象を書き、写しを添付する。 |
| 購入時の領収書 | 売主が正規ルートで購入したことの手がかり。 | 領収書があっても、その品物の真贋を直接証明するものではない。金額や日付の加工も考えられる。 | 購入日、購入先、金額を書き、写しを添付する。 |
| シリアルナンバー | 個体を識別する番号。 | 番号が刻印された偽物もある。番号だけでは真贋を断定できない。 | 番号を書き、本体・保証書・箱で一致するかを確認した日付を残す。 |
| 箱・付属品 | 正規品に付属する箱、説明書、替えの部品など。 | 箱だけが別の個体のものということがある。付属品の存在は真贋を保証しない。 | 付属品の一覧を書き、箱と本体の番号が合うことを確認する。 |
これらの材料は、一つだけでは決め手になりません。保証書・鑑定書・領収書・シリアル・箱が、同じ個体について一貫していることが、真贋への信頼を高めます。反対に、書類が揃っていても、番号がずれている、日付が合わない、といった不一致があれば、慎重になる材料です。
高額品を買う前に確認しておきたいこと
- 本体のシリアルと、保証書・箱・鑑定書の番号が一致しているか。
- 鑑定書の発行者が実在するか、鑑定の日付が新しいか、鑑定の対象が現物と同じか。
- 購入時の領収書の日付と、品物の製造時期が矛盾していないか。
- 値段が、同種の品物の相場から見て、極端に安くないか。
- 売主の本人確認ができているか。連絡先や取引の履歴に不審な点はないか。
- 確認した内容と日付を、書面かメッセージに残したか。
売主の側は、これらの書類を、買主に隠さず、取引の際に示すことが、信頼につながります。書類が揃っていない場合は、その事情を正直に伝え、「書類がないため、真贋は保証しない」と書くほうが、後の争いを小さくします。
偽物だったとき:契約不適合、錯誤、詐欺の三つの道筋
買った高額品が偽物だと分かったとき、買主が使える道筋は、一つではありません。事実関係によって、使える道筋と、その効果が変わります。
偽物だったときの三つの道筋
| 道筋 | 条文 | 主な要件 | 主な効果 |
|---|---|---|---|
| 契約不適合責任 | 民法562条〜564条、566条 | 本物であることが契約の内容になっており、引き渡された物がそれに合わない。知った時から1年以内に売主へ通知する。 | 追完(代替品の引渡し)、代金の減額、損害賠償、解除。損害賠償では、売主の責めに帰することができない事由によるときは請求できない(415条1項ただし書)。 |
| 錯誤による取消し | 民法95条 | 買主が「本物である」と認識して買ったが、その認識が真実に反し、重要なもの。その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた。重大な過失がないこと。 | 意思表示の取消し。取り消すと初めから無効とみなされ(121条)、互いに原状回復の義務を負う(121条の2)。 |
| 詐欺による取消し | 民法96条 | 売主が偽物と知りながら本物と偽って売ったなど、売主に欺罔の意図があった。 | 意思表示の取消し。善意無過失の第三者には対抗できない(同条3項)。売主に不法行為の損害賠償を請求できる場合もある。 |
表の三つのうち、売主の落ち度を立証する必要が最も少ないのは、契約不適合責任です。本物であることが契約の内容になっていたことを示せれば、売主が偽物と知っていたかどうかを問わず、追完の請求や代金の減額が使えます。ただし、1年以内の通知が必要です。錯誤は、「本物と信じて買った」という動機が、売主に表示されていたことが必要です。詐欺は、売主に欺く意図があったことを示す必要があり、立証のハードルが高くなります。
契約書面が、どの道筋を使えるかを左右します。「本物であることを約束する」と書いてあれば、契約不適合責任が使いやすくなり、錯誤の「表示されていた」の要件も示しやすくなります。反対に、「真贋は保証しない」と書いてあっても、売主が偽物だと知っていれば、民法572条により責任は免れません。
偽物と分かったときの確認の順序
- 現物と記録の保全現物を使用せず、そのまま保管する。出品の説明、メッセージ、領収書、振込記録を保存する。
- 真贋の確認第三者の鑑定など、真贋を示す資料を用意する。鑑定の結果が出た日を記録する。
- 売主への通知偽物だった旨と、求める対応(返金など)を、日付の残る方法で通知する。
- 求める対応の整理追完(代替品)、代金の減額、損害賠償、解除、または取消しのどれを求めるかを整理する。
通知は、不適合を知った時から1年以内に行う必要がある(民法566条)。トラブルの手順は別のページで詳しく整理する。
偽物の出品が詐欺的な意図で行われたときは、民事の請求とは別に、刑事の問題になることもあります。ただし、このガイドでは、契約書面と民事上の権利の整理にとどめます。実際にトラブルになった後の確認の順序は売買でトラブルになったときのページで扱います。
盗品だったとき:即時取得、2年間の回復請求、代価弁償
高額品を買ったあとで、その品物が盗品だったと分かる場面があります。このとき、買主がその品物を持ち続けられるかどうかは、民法の動産に関する規定で決まります。
盗品に関する民法の規定
民法192条
即時取得
取引行為によって、平穏かつ公然に動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
民法193条
盗品・遺失物の回復
占有物が盗品または遺失物であるときは、被害者または遺失者は、盗難または遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求できる。
民法194条
代価の弁償
占有者が、盗品または遺失物を、競売もしくは公の市場において、またはその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復できない。
民法561条・565条
他人の権利の売買、権利の不適合
他人の権利を売買の目的としたときは、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う。移転した権利が契約の内容に適合しない場合の売主の責任は、562条〜564条が準用される。
民法576条
代金の支払の拒絶
買主がその買い受けた権利を取得できず、または失うおそれがあるときは、危険の程度に応じて代金の全部または一部の支払を拒める。売主が相当の担保を供したときは除く。
個人間の売買では、194条の「公の市場」「同種の物を販売する商人」にあたらないことが多く、その場合は代価弁償の規定は働かない。
この仕組みを、買主の立場から整理します。買主が、盗品と知らずに買い、かつ、盗品かもしれないと疑うべき事情がなかったのであれば、即時取得(民法192条)が成立し、品物の所有権を取得する余地があります。ただし、高額品は、次のような事情があると、買主に過失があるとされやすいと考えられます。
- 値段が、同種の品物の相場から見て、極端に安い。
- 売主の身元が不明で、連絡先も不確かなのに、取引を急がされた。
- シリアルや書類の確認を求めても、売主が応じなかった。
- 書類と品物の番号が合っていない、または書類がない。
- 売主の説明に、品物の来歴について一貫性がない。
即時取得が成立しない場合、元の持ち主は、盗難の時から2年間、買主に対して品物の回復を請求できます(民法193条)。買主は、品物を返さなければなりません。その場合、買主は、売主に対し、他人の権利を移転する義務(民法561条)の不履行、または移転した権利が契約の内容に適合しないこと(民法565条)を理由に、損害賠償や解除を求めることが考えられます。品物を返すことになりそうなときは、代金の支払を拒める場合もあります(民法576条)。
売主の側から見ると、盗品を知らずに売ってしまった場合でも、売主は他人の権利を売ったことになり、買主から責任を問われる可能性があります。売主は、自分の品物の出所を確認し、購入の経緯を示せる書類を保管しておくことが、自分を守ることにもなります。
条項の例盗品でないことの条項の書き方
- 甲は、本件物品が、甲の正当な権原に基づいて所有するものであり、盗品、遺失物その他第三者の権利を侵害するものでないことを、乙に対して約束する。
- 甲は、本件物品について、第三者のために設定し、又は第三者に譲り渡した権利がないことを、乙に対して約束する。
- 本件物品について、第三者から権利を主張されたときは、甲は、自己の費用と責任でこれを解決し、乙に損害が生じたときは、これを賠償する。
第2項は、民法572条の「自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利」を踏まえた書き方の例。
古物営業法との線引き:個人の自用品の売却と、業としての売買
中古の高額品を扱う取引で、古物営業法の名前が出てくることがあります。この法律は、盗品の流通を防ぐため、古物の売買などを営業として行う者に、許可を受けることなどを求めています。ここでは、許可の手続には立ち入らず、個人の売却と業としての売買の違いまでを整理します。
古物営業法2条1項は、「古物」を、一度使用された物品、使用されない物品で使用のために取引されたもの、またはこれらの物品に幾分の手入れをしたものと定めています(鑑賞的美術品なども含まれ、一部の大型機械類などは除かれます)。そして、同条2項1号は、「古物営業」を、古物を売買し、もしくは交換し、または委託を受けて売買し、もしくは交換する営業であって、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のものと定めています。
この定義から、次のように整理できます。
個人の売却と、業としての売買の違い
| 場面 | 古物営業にあたるか | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 自分で使っていた物を、自分の判断で売る | 通常はあたらない | 古物を売却することのみを行う場合は、2条2項1号の営業から除かれる。 |
| 自分が売った物を、同じ相手から買い戻す | 通常はあたらない | 自己が売却した物品を、その売却の相手方から買い受けることのみを行う場合も除かれる。 |
| 他人から古物を買い取り、転売して利益を得る | あたる可能性が高い | 古物を買い受けて売る営業は、売却のみを行うものではない。営業として行う場合は、公安委員会の許可が必要(3条)。 |
| 委託を受けて他人の古物を売る | あたる可能性が高い | 委託を受けて売買する営業は、2条2項1号の定義に含まれる。 |
表の「あたる可能性が高い」場面で、許可を受けずに営業を営むと、古物営業法の規制の対象になります。許可の要件や手続、確認義務、帳簿の備付けなどは、このガイドでは扱いません。個人が自分の物を売る場合でも、仕入れて売ることを反復継続して行っていれば、営業にあたると評価される可能性があります。その線引きは、取引の態様によるため、警察庁の公表資料と条文で確認が必要です。
契約書面を作る立場から大切なのは、売主が、個人として自分の物を売るのか、事業として仕入れて売るのかを、はっきりさせておくことです。事業として売る場合は、買主が消費者であれば、消費者契約法などの適用があり、「ノークレーム・ノーリターン」の効力のページで整理した制限が関係します。
高額品を売り買いする前に確かめる問い
問い「本物であること」を、約束するのか、約束しないのか。
理由何も書かないと、売主の説明や価格から契約の内容が判断される。どちらにするかを条項で決める。
問い保証書・鑑定書・箱・本体の番号は一致しているか。
理由書類だけが別に出回ることがある。一致を確かめた日付を残す。
問い値段は、同種の品物の相場から見て妥当か。
理由極端に安い場合は、買主に過失があるとされ、即時取得が認められにくくなる。
問い売主は、その品物の来歴を説明できるか。
理由来歴が不明な品物は、盗品の危険がある。購入の経緯を示す書類があるかを確かめる。
問い売主は、自分の物を売る個人か、仕入れて売る事業か。
理由事業として売るなら、消費者契約法などの適用や、古物営業法の許可の問題が出てくる。
答えが曖昧な項目は、取引を急がず、確かめてから進める。
起きがちなこと
高額品の取引で起きがちな場面と、防ぐ書き方
書類は揃っているのに偽物だった
起きがちなこと保証書と箱が付いていたが、本体が別の個体だった。
防ぐ書き方本体のシリアルと保証書・箱の番号が一致することを確認し、確認した日付を書面に残す。
相場より極端に安い物を買った
起きがちなこと売主は急いで売りたいと言い、書類も出さなかった。後で盗品と分かった。
防ぐ書き方安い理由を確認し、来歴が不明な品は買わない。シリアルや書類の確認を拒む相手とは取引しない。
「本物と思います」とだけ書いて売った
起きがちなこと売主は保証のつもりがなく、買主は本物だと約束されたと受け取った。
防ぐ書き方約束するのか、しないのかを、条項で明記する。
売主が個人だから責任はないと思った
起きがちなこと売主は来歴を詳しく知っていたが、知らせていなかった。
防ぐ書き方知っていることは書く。知りながら告げなかった事実は、特約があっても免れない。
仕入れて売り続けていた
起きがちなこと売主は個人名義で出品していたが、継続して買い取って転売していた。
防ぐ書き方自分の取引が、古物営業にあたるかどうかを、条文と警察庁の資料で確認する。
場面は一般的な例であり、特定の取引を指すものではない。
高額品の取引で起きがちなこと
- 真贋を約束するのか、しないのかを決めないまま、売買が成立してしまう。
- 書類があるから大丈夫だと思い、書類と本体の整合を確かめていなかった。
- 偽物と分かったが、通知が遅れて、1年の期間を過ぎてしまった。
- 盗品を買ってしまい、元の持ち主から返還を求められた。売主の連絡先も分からなくなった。
- 売主が、自分は個人だから関係ないと考え、古物営業にあたるかを確認していなかった。
高額品の取引では、品物の価値が一点に集中するため、一つの食い違いが大きな損失につながります。真贋の約束、書類の確認、盗品への備えを書面に残すことが、双方にとっての安全装置になります。手付や取り置きが絡む取引は手付金・内金・取り置きの契約書のページで、代金を分割で払う取引は代金を分割で払う売買契約書のページで整理します。
よくあるご質問
高額品を売るとき、「本物です」と書くとどうなりますか?
「本物であること」を売主が約束したことになり、それが契約の内容になります。偽物だった場合は、契約の内容に適合しない物を引き渡したことになり、買主は、追完、代金の減額、損害賠償、解除を求められます(民法562条〜564条)。本物かどうか自信がないときは、約束せず、「本物と認識しているが、真贋は保証しない」と書く方法もあります。ただし、偽物と知りながら告げなかった場合は、特約があっても責任を免れません(民法572条)。
保証書や鑑定書があれば、本物と考えてよいですか?
真贋を裏づける材料にはなりますが、決め手にはなりません。保証書だけが別に出回ることがあり、鑑定書や領収書そのものが偽造されることもあります。本体のシリアル、保証書、箱、鑑定書の番号が一致しているか、鑑定者が実在するか、日付が合っているかなど、複数の材料の整合を確かめることが大切です。確認した内容と日付は、書面かメッセージに残します。
買った物が盗品だったとき、返さなければなりませんか?
買主が善意で、かつ過失がなければ、即時取得(民法192条)により、品物の所有権を取得できる場合があります。ただし、盗品については、被害者は、盗難の時から2年間、占有者に対して回復を請求できます(民法193条)。公の市場や同種の物を販売する商人から買った場合は、買主が支払った代価を弁償しなければ回復できません(民法194条)。高額品は、値段が安い、書類がないなどの事情があると、過失があるとされやすいと考えられます。
偽物だったとき、契約不適合責任のほかに何か方法はありますか?
錯誤(民法95条)や詐欺(民法96条)による意思表示の取消しが考えられます。錯誤は、本物であることが法律行為の基礎とされていることが表示されていたことなどが必要です。詐欺は、売主に欺く意図があったことが必要です。どの方法が使えるかは、事実関係と、契約書面の書き方によって変わります。
自分の物を売るだけでも、古物営業法の許可は必要ですか?
古物営業法2条2項1号は、古物を売却すること、または自己が売却した物品を売却の相手方から買い受けることのみを行う場合を、古物営業から除いています。そのため、自分が使っていた物を売るだけの個人は、通常は許可の対象になりません。一方、他人から買い取って転売するなど、業として古物を売買する場合は、許可(同法3条)が問題になります。個別の取引にあたるかどうかは、条文と警察庁の公表資料で確認が必要です。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、品物の状態、当事者が個人か事業者か、やり取りの経過によって結論が変わることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。確認できなかった点は、条文と所管官庁の資料で確認が必要としています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 警察庁 / 国民生活センター